2018年08月04日

Cz75の欠陥?論争

きょうはCz75の欠陥論争!について。



えーっと、この問題はとあるブログをきっかけに、
月刊ガンプロフェッショナルで反論が掲載された
ものなのですが、個人ブログ情報の信頼性に
疑問を呈する記述もみられるので、ヒトゴトではない!
と思った次第です、はい。

事の始まりは元銃雑誌ライターであり、自らも
電子版ガンレポート誌を販売していた、
たかひろ氏のブログ「25番」にて、入手した
Cz85の脆弱性を指摘、改良記がUPされたことから。

Cz75(Cz85)のスライドストップ軸はバレル後退の
ストッパーとなっており、他にストッパーを持たないために、
軸が傷み、最悪の場合破断に至る設計上の欠陥がある、
というのが氏の主張(ワタクシのオリジナル要約、詳しくは
元ネタを参照のこと)でした。



このブログ記事について、読者から質問があったため、
ガンプロフェッショナル9月号にて、テリーヤノ氏が反論を
掲載しています(P130~135)。

反論の論点ですが、
①、Cz75は多くのコピー/クローンがあり、それらも
  この構造を踏襲している。
②、スライドストップ軸だけで銃身を受けるのは他機種
 にもみられる。
③、競技でCz75を使用するなどの経験があるが、
 軸破損を経験したことも目撃したこともない。
④、伝聞で破損例があるが、それは.40S&W口径だった。
⑤、機種によっては予備のスライドストップが付属している。
⑥、軸は電気回路におけるヒューズ的役割ではないか。
⑦、Cz75のフルオート版でも同じ構造で問題が無かった。
というところかと。
(下の画像、左からKSC 1st、2nd、そしてMGCの
コンバットカスタム)



まず、たかひろ氏の主張ですが、氏の所有するCz85
(Cz75にアンビスライドストップなどを加えたモデル)には
500発ほどの発射で軸に傷が生じています。
たかひろ氏はSFやタンフォリオのCzクローンの軸破損も
目撃している、との事。
また、他機種がバレルをフレームで受けているのとも比較、
所有するCz85にラグを溶接で作って対策、結果良好との
事です。

氏の事例報告には個人的に納得、です。
メーカーがラグを増設しないのは、切削後溶接とかしないと
フレームには形状的に付けられない、バレルも材料が大きく
なり(原価はしれていると思いますが)、切削量も増大する、
ということが伺えます(ワタクシの意見)。

次にヤノ氏の主張ですが、、、
①はクローンでも軸破損があり、コピーメーカーが
 オリジナル以上の改良を施す保証もないので✖。

②は.380など低威力のものでは問題が無くても
 Cz75で問題が発生しないとはいえず、また軸の細さ
 (面積当たりの耐荷重量を超えている)に起因するため、
 他機種の事例は”安全性の立証”には不足。
 衝撃荷重を算定し、鋼材の許容荷重以下だというなら
 納得できるが、たかひろ氏指摘のように変形している以上、
 これを超えていることは明らか、✖。

③は”自分が見てない”だけで、他の目撃例(たかひろ氏)
 には反論できません。反論するならその目撃が確かな
 ものなのか、発生状況(総発射数)などがわかるか、
 ですが、そういう記録をちゃんととってなくても、ともかく
 ”折れない”に対する反証にはなるでしょう、よって✖。

④は大問題です。.40S&W版も”製品”なのですから。
 もうCzの脆弱性を証明しちゃった!ため、当然✖。

⑤に至っては、メーカーも脆弱性を認識している、
 ということですよね。
 まあメーカーとしては、「ヘビーユースだとここは
 弱いケド、欠陥とまではいえないよね」という
 スタンスかも、ですが。
 当然反論としては✖です。

⑥折れると使用不能になり、またスライド、バレルが
 脱落する恐れがある ”壊してはならない”部品を
 保護要素とするのは✖。
 そもそも、軸を壊してまで保護するようなところは
 ドコなの?

⑦は納得しそう(連射で通常より過大な荷重となり、
 また発射数も多くなる可能性が高い)ですが、単に
 バリエーションで壊れていない例があるだけでは
 破損例を覆せません。よってこれも✖。

あの、この記事、(”個人ブログ”の情報に踊らされず、)
内容を吟味する慎重さを訴えて締めているんですが(爆!
あ、画像はKSC 2ndに実物グリップ)。 



KSCのスライドストップ軸は面取り部分もありますが、
軸径としては4.8mm、ブローニングハイパワーなどと
比べると特に太い、とはいえず、もう0.5mmでも太ければ、
と思わせられます
(画像左がKSC,右はMGC)。



この論争で本来争点となるべき”欠陥”とは、ですが、
明確な基準がなく、日本の法律でも「通常予見される使用形態、
(中略)製造物が通常有すべき安全性を欠いていること」
とされており、どの程度までかは、メーカーとユーザーの
争いドコロ、たかひろ氏には許しがたい”欠陥”だとしても、
Czとしては5000発持てばOK、なのでしょう。

そしてヤノ氏の反論は、上のように全て却下されると
ワタクシ的には思います(百歩譲っても脆弱性は明らかで、
メーカーも”欠陥”とは言わないが”弱点”だとは認識している、
というトコロかと)。

米国のXM9ピストルトライアルでは、5000発中8回以下の
マルファンクション、という要望がありました(でも復旧しない
破損だと試験続けられないよね)し、ここで選定されたベレッタ
M92Fは(オーバーロードが原因らしいですが)スライドの破損が
起こり、対策品のFSが作られています。

歴代のマスターピースでも、P08はプライマーが破れてFピン
周りが吹っ飛ぶ(対策としてガス抜き用切り欠きを追加)し、
P38はスライド上のカバーが吹っ飛ぶ(戦後カバー自体を
無くした)始末。
ガバだって板バネ式エキストラクターをコイルスプリング式に
変えたクローンが主流になっています。
S&Wのリボルバーでバレルに亀裂が!というのも聞きますし、
日本に納入されたモノがクラックが入って回収になったとか!

そもそも鋼材使用設計の基準、100万回の繰り返し耐荷重、
に比べれば銃器は(軽量化の為、と摩耗などで元々寿命が
くるのに合わせて)大きく超えるところで設計されており、
バランスをとるには、製造も含めていわゆる”長年のカン”など
ノウハウが無ければ補えない難しさがあると思います。

Cz75は、日本製バイクに対するイタリアンのように、
”繊細で頻繁にメンテを要する”存在(しかしそれ故、
その造形は美しい!)なんじゃ?

また個人的には九四式拳銃は”軍用拳銃史上最低の欠陥拳銃”
だと思いますが、たかひろ氏は擁護派です(笑)。

以前、別ブログで”判断力”を養うことこそ教育の目的の一つ、
と書きましたが、とかく人間は偏見(個人,法人や媒体の歴史
に惑わされる)に陥りがち。
冷静に”論理的、科学的視点”を持って考えることが重要なんじゃ?
(*;一部機種名等に誤りがありましたのでUP時より訂正しています)  

Posted by 紅い猫RRⅢ at 09:59Comments(7)番組からのお知らせ?